エアコンサービスステーション 操作の手引き rev1.0b

エアコンサービスステーションの設置

本機は内蔵タンクの精密な計量装置による、フロンガス計量充填装置である為、施工するには一定の条件が求められます。

➡ 施工する際には、振動がなく、なるべく水平なところに設置すること。
➡ 内蔵タンク等の固定ネジがきちんと外れており、タンクに干渉しない状態であることを確認すること。
➡ また施工時には本体を絶対に揺らさないでください。

施工時前の注意

①本機はフロンガスの液体注入を行うシステムである為、なるべく施工する対象車両の温度が高温でない状況での施工を行ってください。車両の温度が高いと、正しいガス注入ができません。
② 接続する電源はなるべく壁コンセントより直接取るようにしてください。
本機の必要電圧が満たない場合、(電圧低下が起きている場合)動作を行うと保護回路が働いて電源が切れる仕様になっています。その場合は、別の電源系統から電源を取ってください。

エアコンガスクリーニング

エアコンガスクリーニングとは、車両のエアコン回路からガスを回収し、確実な真空引きによるエアコン内乾燥と高純度再生されたフロンガスを正確に計量充填することによって、全ての車両においてエアコンサイクルのバランスを整える事を目的とする作業です。

定期的なガスクリーニングを行うことによって、最新のエアコンシステムにおいても、常に最適なエアコン環境を保つことが出来る為、故障を未然に防ぎ、エアコンによる燃費の低下を最小限に抑えることが出来ます。

エアコンサービスステーションにおいては、全自動運転を行うことで実施されます。

尚、本機は運転中にストップキーを1回押すと一時停止。2回押すと強制ストップ。
スタートキーを1回押すとプログラムスタート。2回押すと強制スタートを行うようになっております。接続確認のガイダンスが流れた後等、動作させたい時にご使用ください。

全自動エアコンガスクリーニングを行い規定量のフロンガスを充填することにより、従来では圧力故障判断の難しい車両のトラブルを特定しやすくなります。

測定条件

高圧側 1.25Mpa ~ 1.65Mpa 
低圧側 0.12Mpa ~ 0.25Mpa

エンジン回転数: 1500~2000rpm
AC吸い込み口温度: 27.5℃~32.5℃
風量 :  HI  
設定温度 :  最強冷

 

高圧側

低圧側

原因

全自動運転

冷媒充填量不足

1.14Mpa以下

0.07Mpa以下

冷媒量=少 ガス漏れ

全自動運転で改善

サイクル内に水分が混入

0Mpaまたは負圧

1.76Mpa以上

水分の混入によるエキパンの凍結

全自動運転で改善

サイクル内に空気が混入

0Mpaまたは負圧

0Mpaまたは負圧

真空引き不足、空気の混入

全自動運転で改善

冷媒過多、コンデンサーの冷却不足

1.76Mpa以上

0.29Mpa以上

冷媒過多、コンデンサーの冷却不足

冷媒過多の場合、全自動運転で改善

コンプレッサーの圧縮不良

1.14Mpa以下

0.29Mpa以上

コンプレッサーの不良、故障

 

冷媒が循環しない。サイクルつまり

1.76Mpa以上

0Mpaまたは負圧

リキッドタンクやエキパン等のつまり

 

エキパンの開き過ぎ

1.65Mpa以下

0.29Mpa以上

エキパン不良

 

上記表はエアコンサイクルの主なトラブルを表しています。
※確実な真空引きと高純度再生されたフロンガスを正確に計量充填することにより、その後の圧力診断が飛躍的に楽になります。

フロンガス回収

 フロンガスを100% 回収することはできません。


回収率はエアコンの構造、天候や気温などにより変化致しますが、一般的にはおよそ80%と言われています。
理由の一つとして、フロンガスとコンプレッサーオイルは相溶性があり、お互いに溶け合ってエアコンサイクル内を巡回しております。従ってフロンガスを回収するとおよそ3.2%のオイルがフロンガスと共に回収され、エアコンサービスステーションにおいてはドレンに排出されます。一方でエアコンサイクル内に取り残されたコンプレッサーオイル内にもフロンガスは溶け込んだ状態で残るのです。もっともその後の真空引きにおいて外に放出されるので、確実な真空引きを行っていれば、その後の計量充填に影響はありません。また、ガス充填を行った直後はフロンガスが急速に気化し、回路内温度が低下する為、著しくフロンガスの回収率が落ちる事があります。

真空引き

☞ 水は大気圧下においては100℃で沸騰しますが、エベレスト山頂みたいに気圧の低いところでは、100℃以下で沸騰します。


具体的には、例えば真空到達度が25ミクロンの真空ポンプで真空引き(0.025Torr)をすると-51.2℃で沸騰する事から、確実な真空引きを行うことによって真空乾燥を行う為に真空引きを行います。一般的に天候や温度、エアコンのガス容量などによって適正な真空引き時間は異なりますが、一般的な乗用車の適正な真空引き時間は15分から30分位となります。エアコンサービスステーションにおいては真空引きの能力に左右する真空ポンプオイルを50時間毎に交換を促す仕様になっています。

 充填開始時にカーエアコン側が十分に真空でない。

真空引きの際に起こりうるエラーの一部です。
エラーNo28は漏れ検知以外に、真空引き時間が短い場合や、真空ポンプの不具合によって性能が発揮できない場合においても検出します。

再生

☞ フロンガスの高純度再生機能をもつ、エアコンサービスステーションで設定された真空引き時間に再生を行います。


この際に内蔵タンク内のフロンガスの自圧を上げる作業も同時に行っていますので、冬季等の外気温が低い場合は、真空引きの時間を長めに設定することにより、充填エラー(エラー14)を避けることが出来ます。

オイル注入

オイル注入をあらかじめ選択した場合にこの機能が働きます。
基本的には回収等の作業で排出されたオイル量と同等量の新しいオイルをカーエアコンに戻してください。(但し、計量せずに蛍光剤、添加剤等のサービスを受けた車両を除く)

☞ サービス缶注入
機器上部にあらかじめサービス缶をセットします。1缶全てを注入する仕様ですので、サービス缶内に含まれるフロンガスの量を事前に把握しておき、機器のフロンガス充填量から引いてセットしておくことがポイントとなります。

☞ ボトル注入
機器のサイドボトルにオイルを注入セットする。こちらからの注入は、缶からの注入と比べ大量のオイルを入れることが出来る利点を持つ反面、車両の真空引きの後のみしか注入が出来ません。真空引きの後、音声ガイダンスに従ってスタートボタンを押している間オイルをマニュアル注入する機能です。

リークチェック

充填作業の前に1分間のリークチェックを行います。

こちらのリークチェックは主にコンプレッサーやコンデンサーを交換した際に取付けの不具合があるかどうかをチェックする為に行います。高圧になってから漏れる箇所や、数か月かけて漏れるものはここでは検知できません。

  真空引き後のリークチェックで、漏れを検出した。

 リークチェックの際に起こりうるエラーの一部です。

エラーNo24は漏れ検知以外に、真空引き時間が短い場合や、真空ポンプの性能が発揮できない場合においても検出します。50時間に至らない場合においても真空ポンプオイルを交換する事によってエラーを回避する事ができます。

☞ スローリークのチェックの仕方

回収 ➡ 真空引き を行った後に ”圧力チェックエアコン調整” のボタンを押し、圧力チェックを行ったまま、長時間真空が保たれているかどうかチェックします。(この場合、圧力チェックの際のエンジンとコンプレッサーの動作は行わないでください)

充填

☞ 充填は正確なロードセル計量を行いながらフロン液充填を行う為、比較的短時間で充填を行える仕様ですが、作業中は絶対に機器を動かさないように注意してください。正確な計量が出来なくなります。

外気温が低いため、タンク内圧が低く充填ができない

充填の際に起こりうるエラーの一部です。

充填先の車両とエアコンサービスステーション内が充填途中に均圧してしまって、これ以上充填が出来ない時に起こる代表的なエラーですが、この場合は、補充ボタンを押していただき、音声ガイダンスに沿って、車両のエンジンをかけエアコンを動かして、低圧側より残りのガスを吸い込ませる事が出来ます。

エアコン調整

圧力チェックを判断しつつ、対象の車両に対してフロンガスを10g単位 (PLUS,PROは5g単位)で補充、抜取を行うことが出来ます。

☞ここがポイント!
細かく回数を分けて回収を行いますと、通常の回収に比べオイルの抜ける分量が多くなることがあります。オイルが多く抜けた場合は必ず、抜けた分量を補充してください。

ドライフィルター交換

フィルター交換時間経過

Q&A  エアコンガスクリーニング、回収、計量充填

Q1: ガス充填を行った直後に回収を行ったら、前回入れたガス量の回収が出来ない。

A1: ガス充填(液化充填)を行った直後はフロンガスが急速に気化し、回路内温度が低下する為、エアコン内に液化のまま残る場合があり、著しくフロンガスの回収率が落ちる事があります。また、回路内のオイルとも溶け合うことから、フロンガスの回収は同値にて回収する事はできません。

Q2: リークチェックでクリアしたのだが、車両からガスが漏れる。

A2:1分間のリークテストは0.005Mpa以上上昇した場合にエラーコードNo24を出すように設定されておりますが、いわゆるカニ泡のようなガス漏れの検知は状況によっては検知できません。負圧によるリークテストにおいては限界があり、逆止弁のように負圧では閉じてしまう穴であるケースもあります。リークテスターか蛍光剤等でリークテストを行ってください。

Q3: 外車に接続しフロンガスの回収充填を行ったが、回収量が少ない、充填でエラーが出る。

A3: HFC134a用の接続カプラは米国SAE規格により世界標準化されておりますが、ムシ押しの長さは規格化されておりません。日本のJRA規格ではムシ押しの長さ1mm以下で推奨。弊社のレバー式スイベルカプラはJRA基準に準拠です。もしムシが届かない場合は、Hi&Loエクステンションホースセット(EX020を別途お求めください。

Q4: A~(またはB~)の表示、またはCONTの表示が一瞬出てすぐ落ちる。立ち上がらない。

A4: この症状は夏場によく見受けられますが、本機の規定動作電圧が足りていない場合に起こります。主にたこ足配線や、同系統の電源から他の機器をしようしている場合は、他のコンセントから電源を取る等、安定した電源を取れるようにして、再度作業を行うようにしてください。

オイルフラッシング

オイルフラッシングとは、コンプレッサーロック等、エアコンの配管洗浄を行う作業として、エアコンサービスステーション内部で高純度再生されるフロン液を使って車両側の配管内洗浄をする機能です。尚、エアコン配管に接続する冶具として、オイルフラッシングキット2 (別売)が必要です。

オイルフラッシング1 (サイクル洗浄)

オイルフラッシング1(サイクル洗浄)とは、機器につないだ注入ホース(黄)より高純度再生された液化フロンガスを注入させ、洗浄する対象物をいわゆる“とも洗い洗浄”を行うものです。
洗浄が終わった液化フロンガスは抜取ホース(黄)からサイトグラスを経て低圧ホースから回収、再び、高純度再生され、機器間を循環します。

オイルフラッシング1(サイクル洗浄)は、高純度再生フロンガス液を注入ホース(黄)から流し込んで洗浄を行う仕様である為、配管が気化熱で冷たくなり、しばらく流すとエキスパンションバルブが閉じ、上手く管路内洗浄が出来ない場合があります。管路内の汚れがひどく徹底して洗浄したい場合は、エキスパンションバルブからピンを外す等の加工をして、フロン液が流れるように工夫してからオイルフラッシング1(サイクル洗浄)を行うようにしてください。

サイトグラス内のフロン液の流れを確認して頂き、流れが悪い場合には、オイルフラッシング2(バックリターン洗浄)に切り替えて洗浄を行う方法もあります。

 

オイルフラッシング2 (バックリターン洗浄)

オイルフラッシング2(バックリターン洗浄)とは、機器につないだ高圧ホース(赤)と低圧ホース(青)の両側より、液化フロンガスを『注入 ⇄ 回収』を設定した回数分を繰り返し行うものになります。この洗浄方式では唯一、低圧側からフロン液を注入することが出来ますので、フラッシング1と組み合わせて使用するとより、効率的に洗浄できます。

本機能は、エキスパンションバルブの詰まりの改善を保証するものではありませんが、詰まり等の対策として使用することで良い方向へ向かった報告例もあります。

オイルフラッシング接続を行う上でのポイント!

①    オイルフラッシングキット2を正しくセットします。接続の際、配管に接続するゴムコーンを強く締めすぎますと、洗浄液が流れない事があります。注意してください。

②    サイトグラス内のフィルターは作業毎で交換してください。フィルターが目詰まりを起こして流れを阻害しないようにしてください。
③    接続を間違えたりしますと、エラー25を検出します。このエラーはフロン液が低圧側に戻ってこない場合に発生します。フラッシングキットの接続を再確認してください。

 オイルフラッシングキットの接続ミス。

オイルフラッシング施工を行う上でのポイント!

①    車両側に大量の液化フロンガスを使って洗浄を行う為、あらかじめタンク残量3000g未満ではコースの選択が出来ません。車両のエアコンガスの容量にもよりますが、およそ4000~5000g位のタンク残量で行って頂ければスムーズに作業できます。

②    オイルフラッシング施工の際、真空引き時間は車両のガス容量、外気温度、湿度等を考慮しながら、臨機応変に設定してください。フラッシング時間も、車両のガス容量、汚れ具合等、同様にします。基本的には長めに設定を行うことがポイントです。

③    オイルフラッシング施工では、洗浄対象の配管等からオイルを全て洗い落とす効果があります。通常、コンプレッサー交換を伴う場合は、問題ありませんが、コンプレッサー交換を伴わない場合は、施工で排出されたオイル量を確実に入れるようにしてください。

④    フラッシングキット接続部の漏れを検知しますと、エラーを検出します。接続を確認してください。

真空引き後のリークチェックで、漏れを検出した。

 

         

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