マニホールドゲージを使う前に気を付ける事とは?

エアコン整備には欠かせないマニホールドゲージには、あらかじめ、PAG用とPOE用と使用するコンプレッサーの 種別にあわせて別れているのが一般的なので、用途に合わせて購入する必要があります。
プロステップのボールバルブ式マニホールドゲージはドライ方式による気密試験をクリアしておりますので、本体に油分を含んでいないという利点があります。
したがって、初回の使用時においてはPAG/POEのどちらのエアコンでも『対応可能』という事になります。 PAG オイル用かPOE オイル用かを決めて頂き、ボディに付属の油種シールを張って利用することが出来ます。
(注意:一旦PAGで使用したマニホールドはPOE車には絶対使用しないでください。)
マニホールドゲージのバルブ方式の違い
マニホールドゲージには一般的にはニードルバルブ式マニホールドゲージが主流であり、水道の蛇口のようにグルグル回すことでバルブの開閉を行うものです。プロステップのマニホールドゲージは、ボールバルブ方式を採用。ボールバルブ方式はバルブの開閉が45度の回転により開閉を決めるもので、ガスの流量調整が容易にできる利点があります。プロステップのボールバルブは耐久性も高く、ロングライフ設計です。
マニホールドゲージの基本的な使い方
真空引き作業
ガス充填を行う前に十分な真空引き作業を行う必要があります。
真空引きにかける時間は対象のエアコン回路の大きさ、気温、湿度などに応じて異なります。十分な真空乾燥時間をかける必要があります。
- マニホールドゲージにチャージングホース(ストレート側)を接続してください。
- マニホールドゲージの全てのバルブを閉じます。
- 高圧側(赤)低圧側(青)のホースをカーエアコンの各ポートに接続してください。
- 中央のホース(黄)を真空ポンプに接続してください。
- マニホールドゲージの全てのバルブを開いてください。
- 真空ポンプを始動して、真空引きを開始してください。
- 高圧側、低圧側のバルブを閉じて、真空ポンプを停止してください。(リークテスト)
- リークテスト異常が無ければ、真空引き作業は完了です。
冷媒充填作業
- 中央のホース(黄)をサービス缶バルブに接続します。
(充填量はサービスマニュアルに従ってください。) - マニホールドゲージの全てのバルブを閉じます。
- サービス缶パルプにサービス缶をセット。穴を開けます。
- 本体中央にあるムシ付きポートのムシを押し、中央のホース内(黄)のエアーをパージします。
- 高圧側バルブを開いて、冷媒を充填してください。この時、冷媒缶をさかさまにして液充填しても大丈夫です。
- 規定量の冷媒が充填される前に、カーエアコンと冷媒の圧力が均圧すると冷媒の移動が停止します。その時は、高圧側ジョイントを外し低圧側バルブを少し開いて、カーエアコンを運転して残りの冷媒を各圧力を見て調整しながら吸い込ませてください。
- 冷媒の充填が完了したら、高圧側、低圧側バルブを閉じて、各ホースを取り外してください。
冷媒補充作業
注意 車両側のエアコンを動かしているときに高圧側バルブを開くと危険ですので、絶対に開かないでください。
- 中央のホース(黄)にサービス缶をセットしたサービス缶バルブ(閉)を取付けてください。 未使用のサービス缶の場合はまだ穴をあけないでください。
- マニホールド本体の赤、青のバルブが閉じている事を確認してから、高圧、低圧側カプラを車両に接続してください。バルブ式カプラの場合は上部のつまみを時計方向に締め込んでください。
- 次にマニホールド本体の赤、青色バルブを開いてから、中央のホース(黄)のサービス缶バルブ接続部を緩めて、各ホース内のエアをパージしてください。パージが完了したら再び締め込んでください。
- マニホールド本体の赤、青色バルブを閉じてください。未使用のサービス缶の場合は穴を開けてください。使用中のサービス缶の場合はバルブを再び開いてください。
- 車両のエンジンをかけて、エアコンをいれてください。マニホールド本体の青色バルブをゲージを見ながら、ゆっくり開いてください。規定の圧力を表示するまで冷媒を吸い込ませてください。
- 規定の圧力に達したら、補充作業は完了です。
- サービス缶バルブを閉じてから、マニホールド本体の青色バルブを閉じてください。
- 車両のエアコンを切り、エンジンを止めてください。高、低圧側のカプラを外してください。高圧側のカプラを外す際は十分気をつけてください。(内部の圧力が吹き出すため)バルブ式カプラは上部のつまみを反時計方向にゆるめてから外してください。
Q1.各ホース内の空気抜きってどうしたらいいのか?
施工するカーエアコンに空気が入ることによってエアコントラブルを引き起こす可能性があるため、施工前のエアパージは必ず行う必要があります。
- 》高圧ホースと低圧ホース内のエアパージを行う方法
① 両側のコンプレッサーを回していない状態で、高低圧ポートに接続する。
② 中央の真空/チャージポートは開放状態のまま、各高圧、低圧バルブを片方づつ少し開いてエアパージを行う。 - ③ チャージホース内をエアパージする
④ 高圧バルブ、低圧バルブを閉じた状態でフロン缶をチャージポートに接続し、缶切りバルブを開いてエアパージポートより行う。
Q2.マニホールド内に溜まったフロンガスの戻し方の方法は?
施工後にマニホールド内に溜まったフロンガスを車両側に吸わせることにより、外部にガスを放出させる事を防ぎます。
- 缶バルブを閉じる
- 車両側のコンプレッサーを一旦停止して高圧側プラグを外す。
- 高圧側と低圧側バルブを開く。
- 車両側のコンプレッサーを再び動かすことにより、マニホールド内の残留フロンガスを低圧側より引き込ませることができる。
Q3.カーエアコンの圧力はどうやって測るのか?
マニホールドの高圧、低圧側バルブを閉じることにより、 各圧力を量ることが出来ます。
基本測定条件は、
・ドア:全開
・内外気切替:内気循環
・エンジン回転数:1500~2000rpm
・ブロアスピード:HI
・温度コントロール:最強冷
・エアコン吸込み口温度:27.5℃~32.5℃
※一般的にはクラッチが繋がった時のピーク値を測定します。
《適正圧力の見方 HFC134aの場合の目安》
★ 高圧は外気温(コンデンサの周辺温度)の1/20 Mpa
★ 低圧は高圧圧力の約15% Mpa
例:外気温28℃の時
高圧は28℃×1/20 = 1.4Mpa
低圧は1.4Mpa×15% = 約0.21Mpa
※上記の数値はあくまでも目安であって、湿度や車種(メーカー)によって異なります。
外気温と圧力の関係(HFC134aの場合)
※上記はあくまでも目安です。詳しくは施工する車両のサービスマニュアルを参考にしてください。