HV/EV車の電動コンプレッサーは、内部に高電圧の三相モーターを内蔵し、冷媒配管とごく近い位置に絶縁を保っています。 メガー(絶縁抵抗計)で測る「実測値」ひとつで、水分侵入や巻線劣化による漏電リスクを早期に見抜くことができます。
電動コンプレッサーは、内部に高電圧(概ね200〜650V)で駆動する三相モーターを内蔵しています。このモーター巻線(U/V/W)は、コンプレッサーのケースや冷媒配管とごく近い位置にあり、絶縁によって高電圧側と隔てられています。
冷媒油は吸湿性が高く、水分の混入や巻線絶縁の劣化が進むと、この隔たりを越えて導電パスが形成されます。冷媒配管は車体各所まで繋がっているため、絶縁不良は感電事故に直結する重大な安全上のリスクです。
絶縁抵抗の低下は一度きりの故障ではなく、多くの場合進行性です。水分や冷媒油の劣化がわずかな漏れ電流を生み、その熱や化学反応がさらに絶縁材を傷める、という悪循環に入ると低下は加速します。 だからこそ定期的な実測値の記録が、突発的な絶縁不良を未然に防ぐ手がかりになります。
絶縁抵抗の実測値そのものが「今どれだけ安全マージンが残っているか」を示します。基準値との単純な比較だけでなく、水準そのものが診断の切り口になります。
サービスプラグを外してHVバッテリーと高電圧回路を遮断し、規定の放電待機時間を確保する。絶縁手袋など所定のPPEを着用し、テスターでREADY OFF・残留電圧なしを確認してから作業に入る。
インバーターターミナルカバーを外し、モーターケーブルをインバーターから切り離す。端子部の水分・汚れは測定値を狂わせるため、乾いた状態にしてから測定する。
絶縁抵抗計を車種指定の電圧レンジ(多くは500V)に合わせ、モーターケーブルの各端子(U/V/W)とボディアース間、および相間の絶縁抵抗値を測定する。
サービスマニュアル記載の基準値と比較し、下回っていれば交換を検討する。基準を満たしていても、前回値との推移を記録しておくと劣化の兆候を早期に捉えられる。